UR賃貸住宅・横浜市営住宅・神奈川県営住宅・川崎市営住宅などの「団地」は、民間の賃貸住宅と退去のしくみが少し違います。退去日の2週間前後までに届出が必要なこと、管理者の立会い検査があること、畳・ふすまなどの指定修繕が入居者負担であること、住宅に備え付けの部品を一つでも欠かすと費用を請求されることの4点が大きな違いです。このページでは、ご家族の逝去や施設入居にともなって団地を退去される方向けに、手続きの流れと、必ず残す・返すものをチェックリストにまとめました。
このページの根拠:UR都市機構・横浜市・神奈川県・川崎市が公開している入居者向けのしおり(2026年11月時点)と、当社が横浜・川崎の団地で退去立会いに同行した際に実際に確認を求められた項目です。団地ごとに細かな運用が異なるため、最終的な判断はお住まいの管理サービス事務所・指定管理者事務所・サービスセンターにご確認ください。
1. 退去までの流れと期限(事業者別)
どの団地でも「届出 → 立会い検査 → 指定修繕・片付け → 鍵の返却 → 敷金(保証金)の精算」の順に進みます。届出の期限と検査の呼び方が事業者ごとに違います。
UR賃貸住宅
| 届出の期限 | 退去日の14日以上前までに「賃貸住宅賃貸借契約解除届」を管理サービス事務所へ(提出日から14日未満の場合は提出翌日から14日目が解除日) |
|---|---|
| 検査 | URが住宅の損傷の程度を調査し、入居者負担の修理費を査定 |
| 鍵の返却 | 当初渡された全部の鍵を返還。紛失があるとシリンダー錠の交換費用を負担 |
| 敷金・費用の精算 | 敷金から日割家賃・修理費等を控除して返還。不足分は別途支払い |
横浜市営住宅
| 届出の期限 | 退去日の10日前までに「住宅返還届」を指定管理者事務所へ(駐車場も同様) |
|---|---|
| 検査 | 返還届の日付に基づき、退去者立会いのもと横浜市住宅供給公社職員が検査、修繕業者が費用を算定(修繕費は直接業者へ支払い) |
| 鍵の返却 | 検査時に公社職員へ返却。本数不足は自己負担で鍵交換(複製鍵は本数に含まれない) |
| 敷金・費用の精算 | 保証金は明渡し後に還付。滞納分・修繕費に充当可 |
神奈川県営住宅
| 届出の期限 | 明渡日の15日前までに明渡届が必要。指定管理者サービスセンターへ連絡して立会日を調整 |
|---|---|
| 検査 | 指定管理者が検査し、入居者負担の修繕箇所を指示。修繕完了後に完了検査を受けてから鍵を返却 |
| 鍵の返却 | 完了検査のあとに返却 |
| 敷金・費用の精算 | 敷金は「明渡届・敷金還付請求書」で精算。残留品の処分費は後日請求 |
川崎市営住宅
| 届出の期限 | 退去日の14日前までに「市営住宅使用廃止届」を川崎市住宅供給公社へ。あわせて空家検査の日程を決める |
|---|---|
| 検査 | 退去時に空家検査。畳の表替え・ふすまの取替えが必須(材料費は退去者負担) |
| 鍵の返却 | 空家検査の時に検査員へ返還。紛失時の鍵交換は入居者負担 |
| 敷金・費用の精算 | 敷金は最終使用料の確認後、約2〜3か月後に返還 |
※家賃(使用料)はいずれも退去日までの日割りです。UR・横浜市営・川崎市営は月の途中の退去でも日割り計算になります。借上型の市営住宅は建物所有者ごとに負担区分が別に定められている場合があります。
2. 必ず残す・返すもの チェックリスト(欠けていると費用を請求されます)
団地の住戸には、入居時から備え付けられている部品や付属品があります。これらは住宅の一部として貸与されているもので、退去時の検査で「入居時の状態に戻っていない」と判断されると、修理・取替えの費用が退去者の負担になります。遺品整理では小さな部品が家財に紛れて処分されやすいので、作業前に場所を確認し、まとめて保管しておくことをおすすめします。
鍵・書類
- 玄関の鍵(入居時に渡された全本)。スペアキーも含めて数をそろえる。複製した鍵は本数に数えられず、不足分はシリンダー交換費用の負担になる
- 郵便受箱・物置・メーターボックスなど、住宅に付属する鍵があれば同様に
- 契約書・使用許可書・入居のしおり・修理細目通知書など、退去手続きで提示を求められる書類
エアコンまわり(当社の現場でもっとも欠品が多い項目です)
- 団地専用のエアコン取付金具(壁掛け用のプレート)と、それを留める専用のネジ・ビス。エアコンを外した後に金具とネジを元の位置に戻すか、まとめて保管する
- 壁の配管穴(スリーブ)のフタ・キャップ。室内側・室外側の両方。エアコン撤去後に穴が開いたままだと、フタの取替え費用を請求される
- 室外機置き場の架台・固定金具(住宅に備え付けのもの)
- エアコン用の専用コンセント・200V化した回路は、模様替えで変更した場合は元に戻す(川崎市営は増設コンセントの撤去、増量した電気容量を元に戻すことが明記)
URの場合:エアコン設置のために壁にスリーブを開けるなどの工事は「模様替え」にあたり、承諾の際の条件は原則として退去時に入居者の費用で原状回復することです。原状回復を免除された模様替えでも、汚損・破損があれば補修費用を負担します。エアコン本体(室内機・室外機・配管)は退去時に撤去します。
照明・給湯・水まわりの付属品
- 備え付け照明器具のリモコンと照明カバー。リモコンは引き出しや棚の裏に紛れやすい
- 給湯器・風呂のリモコンパネル(横浜市営では給湯器の附属物として入居者負担の修理・取替え項目に明記)
- 浴槽のふた・排水栓とその鎖、洗面器・流し台の排水口のゴム栓・目皿・ごみ受け
- ガスコンロ(備え付けの場合)のグリル皿・焼網、換気扇のフィルター類
- タオル掛け・ペーパーホルダー・帽子掛け・カーテンランナーなど、住宅に備え付けの小さな備品
建具・設備
- 網戸・ふすま・障子・室内扉。外して押入れや物置にしまっている場合は、必ず元の場所に戻す
- ドアノブ・引手・戸車・レール・ドアチェーンなどの付属金物
- コンセント・スイッチのプレート、テレビ端子のカバー、引掛シーリング
- 入居時に付いていた換気扇・風呂釜・給湯器。自分で取り替えた場合は、元の規格の物に戻すか管理者の指示に従う
- 専用庭・バルコニーの物干し金物、避難ハッチ上の障害物なし
川崎市営住宅のしおりにある「入居時の状態に戻していないもの」の例:コンセントが2口だったのを3口に変更したもの、ドアノブが扉に取り付けられていないもの、キッチン収納の扉が外れたままのもの。これらはすべて退去者負担の原状回復になります。
3. 退去時に入居者負担になる修繕・費用
- 畳の表替え、ふすま・障子の張替え(横浜市営・神奈川県営・川崎市営では汚れの程度にかかわらず義務。川崎は材料費のみ退去者負担)
- 破損したガラスの取替え、入居者の故意・過失による壁・床・設備の損傷
- 自分で設置した物の撤去と原状回復(風呂釜・換気扇・増設コンセント・手すり・棚・網戸・カーテンレール・浄水器・郵便受箱の錠前・専用庭の植栽など)
- 残置物の処分費。退去後に残された物は放棄されたものとして処分され、費用は退去者に請求される(神奈川県営・川崎市営に明記)。粗大ごみは一般ごみ置場に出さず、自分で処分する
- タバコのヤニ・結露を放置したカビ・油汚れなど、通常の清掃を怠った汚れの清掃費
経年変化や通常の使用による損耗(日焼けによる変色、家具の設置跡など)は原則として入居者負担にはなりません。負担区分はそれぞれのしおり・負担区分表で公開されています。
4. ご逝去・施設入居にともなう退去で気をつけること
- 名義人が亡くなった場合、同居者も退去するのが原則です。配偶者や高齢者など一定の条件を満たす同居者が住み続けるには承継の申請が必要で、期限があります(川崎市営は20日以内、横浜市営は14日以内に申請)。まず管理者に連絡してください
- 届出の期限から逆算して片付けの日程を組みます。横浜市営は10日前、UR・川崎市営は14日前、神奈川県営は15日前が届出期限です。届出の後に解除日の延期はできない(UR)ため、片付けが終わる見込みが立ってから届出をするのが安全です
- 家財を運び出す前に、上のチェックリストの部品の場所を確認し、写真を撮って袋にまとめておきます。遺品整理で処分する家財に紛れると、取替え費用の負担になります
- 立会い検査にはご家族(相続人)が立ち会うのが基本です。横浜市営では立会いが難しい場合に同意書を提出して公社職員と修繕業者のみで検査する方法があります
- 家賃は退去日まで日割りで発生します。敷金・保証金の精算は明渡し後(川崎市営は約2〜3か月後)になります
- 電気・ガス・水道・インターネット・新聞の停止と精算、郵便の転居届、口座振替の解約届も退去前に済ませます
5. 団地の退去片付けで当社ができること
- 作業前に住戸を確認し、鍵・エアコン金具・配管穴のフタ・リモコン類など「残すもの」を先に分けて保管してから家財の搬出を始めます
- 残置物ゼロ・清掃済みの状態で検査日を迎えられるよう、届出の期限から逆算して作業日を組みます
- 畳・ふすまの張替えやエアコンの撤去・原状回復が必要な場合は、管理者の指示内容に沿って手配のご相談に応じます
- 粗大ごみ・家電リサイクル対象品は当社で引き取り、一般ごみ置場には出しません
- 遠方のご家族には、作業前後の写真報告と鍵の受け渡し方法をご相談のうえ対応します
料金は間取りと家財の量で決まります。目安は料金案内をご覧ください。お見積り後の追加請求はありません。
6. よくあるご質問
エアコンは置いていってもよいですか?▼ 開く
UR・市営・県営とも、入居者が設置したエアコンは退去時に撤去するのが原則です。管理者の承諾を得て残せる場合もありますが、必ず事前に管理者に確認してください。撤去後は取付金具とネジ、配管穴のフタを元に戻します。
鍵を1本なくしてしまいました。▼ 開く
入居時に渡された本数がそろわないと、シリンダー(錠前)の交換費用を負担することになります。複製鍵を作っても本数には数えられません。心当たりの場所を片付け前に探し、見つからない場合は検査時に申し出てください。
畳やふすまは、きれいに使っていても替える必要がありますか?▼ 開く
横浜市営・神奈川県営・川崎市営住宅では、入居期間や汚れの程度にかかわらず、畳の表替えとふすまの張替えが退去時の入居者負担として定められています。URでは退去時の調査で損耗の程度に応じて負担が決まります。
検査に立ち会えない遠方の相続人です。▼ 開く
横浜市営住宅では同意書を提出することで公社職員と修繕業者のみでの検査が可能です。他の事業者も相談に応じる場合があるため、早めに管理者へ事情を伝えてください。当社では鍵の受け渡しと写真報告で遠方のご家族をサポートします。
出典:UR都市機構 住まいのしおり「退去時の手続き」(PDF)、UR都市機構 住まいのしおり「願出・届出(模様替え)」(PDF)、UR都市機構「修理細目のしおり」令和7年10月 (PDF)、横浜市・横浜市住宅供給公社「市営住宅 住まいのしおり」令和8年4月 (PDF)、横浜市住宅供給公社 市営住宅 入居中の方へ、神奈川県「県営住宅 入居のしおり」令和7年7月 (PDF)、神奈川県 県営住宅に入居中の方へ、川崎市「市営住宅 住まいのしおり」(PDF)、川崎市 市営住宅(入居者向け情報)。いずれも2026年11月時点の内容です。改定される場合があるため、最新の内容は各公式サイトでご確認ください。
